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第80期本因坊戦挑戦手合五番勝負が開幕 一力遼本因坊が初戦を制す

リードを守り切った(写真は名人戦)

一力遼本因坊に芝野虎丸十段が挑戦する第80期本因坊戦挑戦手合五番勝負が5月14日に開幕し、一力本因坊が幸先のよい1勝を挙げました。

本因坊戦第1局の対局場は山梨県甲府市「常磐ホテル」。同所は「決着の常磐ホテル」といわれるほど、番碁の最後のほうにセットされることが多く、第1局での開催は新鮮に思えます。

一力本因坊も常磐ホテルでは何度も対局経験がありますが、「相手はいつも井山(裕太王座)だったので、芝野さんというのも新鮮な気持ちです」と対局前、話していました。

今年に入っての一力本因坊の成績は10勝7敗と、勝ち越してはいるものの、一力本因坊にしては少々物足りない感じがします。

対して芝野十段は今年、18勝3敗で国内戦は1敗しかしていないほど絶好調。

第2局は秋田・能代で開催(写真は名人戦)

どんな戦いになるかと見ていましたら、序盤の分かれで一力本因坊が一本取り、そのリードを守り切って勝利をつかみました。

当日、現場で開催された大盤解説会には、癌闘病を公表している趙治勲名誉名人が元気な姿を見せたのは、ファンにとって嬉しい時間になったでしょう。

本因坊戦第2局は5月25日秋田県能代市で打たれます。

三浦太郎新人王がテイケイグループ杯俊英戦で優勝

酒井六段をストレートで下し優勝した三浦太郎四段(日本棋院提供)

第4回テイケイグループ杯俊英戦の決勝三番勝負第2局が5月3日に打たれ、三浦太郎四段が酒井佑規六段に勝ち、2連勝のストレートで優勝を決めました。

三浦四段は昨年秋に新人王も獲得し、今、最も脂ののっている若手のひとりです。準優勝となった酒井佑規六段も、2022年には新人王を獲得しており、次代を期待される棋士のひとりで、その棋風は「混沌流」と呼ばれています。

テイケイグループ杯は、俊英戦、レジェンド戦、女流レジェンド戦の3つがあります。レジェンド戦は60歳以上で七大タイトル獲得経験者らが出場し、現在は片岡聡九段がタイトルホルダーです。女流レジェンド戦は45歳以上かつ女流棋戦タイトル獲得経験棋士が出場でき、小林泉美六段が2連覇中でタイトルを保持しています。

俊英戦は25歳以下の棋士で、優勝すると時期以降出場できない規定。

第1回優勝が許家元九段、第2回が一力遼棋聖、そして第3回が芝野虎丸十段と歴代トップ棋士が名を連ねています(芝野十段は、第1回、第2回ともに準優勝)。

一力棋聖、芝野十段らが抜けた本棋戦、次世代を担う期待の若手として三浦太郎四段が優勝したのです。

テイケイ杯俊英戦の優勝賞金は1000万円。皆さんご存じのNHK杯の賞金が500万円ということから見ても、高額といえるでしょう。

左から4人目が三浦四段、右から4人目が小林泉美六段(テイケイグループ杯女流レジェンド)

先日、棋士控え室で会って「優勝おめでとうございます」とお声かけができました。その際、棋士仲間たちに「優勝賞金の使い道は?」などと聞かれていましたね。

三浦四段はよく、私が観戦記担当の名人戦リーグの記録係を担当していますが、何しろ字が上手で、丁寧。三浦四段がつける棋譜はすばらしく芸術品、というのが印象的です。

今後の注目棋士として、ぜひ名前を覚えておいていただきたいと思います。

名人戦挑戦者の行方は井山と福岡に絞られたか 芝野2敗で後退

一力遼名人への挑戦権をかけて争う第50期名人戦リーグ戦は4月28日に第5ラウンドが終了しました。全勝の井山裕太王座、福岡航太朗七段の首位グループを1敗で追う芝野虎丸十段がまさかの2敗目を喫し、挑戦者争いから大きく後退しました。

芝野十段は今年、絶好調でした。ここまで16勝2敗。2敗は国際戦(1勝2敗)なので、国内負けなしの15連勝だったのです。

今期名人戦リーグは昨年12月に始まり、芝野十段は初戦で井山王座に負けており、2勝1敗の状況で、2勝2敗の許家元九段との対戦を迎えました。

許九段との対戦成績は芝野十段の23勝14敗と大きく勝ち越しています。しかし、今回は許九段にずっと主導権を握られ、形勢もリードすることなく敗戦となりました。

当日、芝野十段も許九段も(ついでに記録係の柳井一真初段も!)しばしば鼻をかんでいたので、花粉症かなと見ていたのですが、芝野十段は咳もしていたので、体調も万全ではなかったのかもしれません。ご本人は「対局には問題なかったので、大丈夫です」とおっしゃっていましたが。

これで名人戦リーグは1敗者が消え、5連勝の福岡七段、4連勝の井山王座に挑戦者争いは絞られたように思います。

注目の井山―福岡戦は、5月15日に打たれます。

上野愛咲美女流立葵杯が女流名人を奪還 藤沢里菜女流本因坊は2冠に後退

「実力はまだまだ」(上野さん)

藤沢里菜女流名人に上野愛咲美女流立葵杯が挑戦する第36期女流名人戦が4月14、16日に打たれ、上野女流立葵杯が2連勝で前年取られた女流名人を奪還しました。

今期のシリーズは、上野さんの強さが際立ち、藤沢さんは調子が今ひとつだった印象です。

ストレートの2連勝で奪還

藤沢「2局通して全力を出し、力は発揮出来たかなと思いますが、反省点はたくさんあります。また(挑戦者決定)リーグ戦から大変ですが、挑戦者を目指して頑張りたい」

勝った上野さんは意外にも「シリーズ前はまた勝てるはずがないと思っていたのでびっくりしています。(挑戦者決定)リーグのときは調子がよかったのですが、終わってからずっと調子が悪くて。奇跡的に第1局から調子がよくなったので(勝てましたが)、実力はまだまだ。調子が悪いときでも勝負できるくらいになりたい」と、謙虚に語っていました。

「反省点はたくさんある」(藤沢さん)

これで女流タイトルは、上野さんが2つ(女流名人、女流立葵杯)、藤沢さんも2つ(女流本因坊、扇興杯女流最強)、そして上野梨紗女流棋聖という勢力図になりました。このあとに続く女性棋士は誰なのか。新しい若い力の台頭にも期待したいと思います。

本因坊戦の挑戦者は芝野虎丸九段に

今年、国内負けなしの芝野十段

一力遼本因坊への挑戦者を決めるトーナメントの決勝戦が4月7日に打たれ、芝野虎丸十段が孫喆七段を下して、挑戦者となりました。

芝野虎丸十段は今年絶好調。挑戦者を決めた対局までで15勝1敗。その1敗は海外棋戦なので、国内組にはまだ1回も負けていないのです。

挑戦を決めた3日前には、井山裕太王座から「十段」を3勝0敗のストレートで奪ったばかりでした。気分も上々だったことでしょう。

昨年、芝野十段は七大タイトルの挑戦手合いに5回も出場。しかし碁聖戦、天元戦、王座戦で挑戦者になるもすべて負け、さらに持っていた名人と十段も獲られ、久々の無冠となっていました。これは本人もだいぶこたえたようでした。

「去年、一力遼棋聖にだいぶ鍛えられた」(洪清泉四段)

芝野十段が修行していた洪道場を主宰する洪清泉四段は「去年、一力遼棋聖にだいぶ鍛えられた(名人戦と天元戦)から強くなったのでは」と、今年好調の要因を話していました。

挑戦手合いでは一力本因坊に勝ったことがありません。好調・芝野十段がどんな戦いを見せるか。

本因坊戦第1局は5月14日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で開幕します。