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芝野虎丸十段に挑戦するのは許家元九段に

「令和三羽ガラス」のひとり

第64期十段戦挑戦者決定戦で、同じ高林拓二門下の兄弟子・富士田明彦八段に勝って、許家元九段が芝野虎丸十段への挑戦者として名乗りをあげました。

許家元九段は、一力遼五冠、芝野十段とともに「令和三羽ガラス」と呼ばれ、「ポスト井山裕太」として、十代のころから期待されてきました。

井山裕太碁聖の2度目の七冠を最初に崩したのは、許さんでした。令和三羽ガラスで最初にタイトルを獲得し、その後も十段などのタイトル者となったのですが、現在は、一力さん、芝野さんに少し水をあけられている状況です。

今回、十段は3期ぶり、挑戦手合登場もそれ以来となります。

許「タイトルホルダー(一力、井山、芝野)とは、差を感じています。とくに終盤に逆転されることが多いので、その差を埋められるように頑張りたい」

芝野十段と許九段の挑戦手合は3月3日、日本棋院東京本院にて開幕します。

第73期王座戦就位式

左は一力遼王座の妹弟子小幡みのり初段

初の王座を獲得し、五冠を達成した一力遼王座の就位式が2月20日、パレスホテル東京(東京千代田区)にて執り行われました。

獲得タイトル33を数える一力遼五冠ですが、意外にも王座は初戴冠です。実は7,8年前の65、66期にも井山裕太王座に挑戦していたのですが、ことごとく跳ね返されていました。今回、7年越しの雪辱を果たしたことになります。

7年越しの雪辱を果たした

昨年始めの時点では、七大タイトルを一力が四冠、井山が三冠でしたが、年末は一力が五冠、井山、芝野虎丸が一冠ずつという状況になりました。

この王座戦で一力が頭一つ抜け、張栩九段、井山に続いて史上3人目の五冠となり、碁界の第一人者の地位を確立しました。

謝辞に立った一力は「今回の王座戦は運がよかった。挑戦者決定戦も負けの場面がありました。第1局、陣屋(神奈川県秦野市)でカレーを食べて勝ったのですが、2局目は食べなかったら負けました。そこで第3、4局の昼食はカレーを食べて勝つことができました。王座戦のあとは、思うような成果をあげられていません。より上のステージにいけるよう精進します」とあいさつし、拍手を浴びていました。

年末から結果を出せずに、少々スランプ気味の一力さん。早い復調を期待しています。

藤沢里菜女流本因坊就位式

夫の横塚力七段からも祝福

前人未踏の通算9期、6連覇を達成した藤沢里菜女流本因坊の就位式が1月30日、オークラ東京(東京港区)にて執り行われ、棋士や家族、多くのファンから祝福を受けました。

「今が一番囲碁が好き」

日本棋院理事長の武宮陽光六段は「謝衣旻七段の8期を抜いて通算9期を達成されました。さらなる高みを目指してほしい」と祝辞を述べました。

藤沢女流本因坊は、「挑戦者の星合志保四段とは、長くのつきあいがあります。ここ1年、星合さんはどんどん強くなってられている印象で、1局目は勝ちましたが、2局目は完敗。3局目は苦しい碁でしたが勝ちました。4局目、星合さんが先に秒読みに入ったのですが、ずっと正確に打たれ、そのまま勝ちきられました。私の見えていない手が見えているなど全体的に押されていて、正直、今回は厳しいかと思ったほどです。今が一番囲碁が好きで、どんどん好きになっています。囲碁の魅力をお見せできるよう、微力ながら囲碁界を盛り上げていくことができればいいなと思います」と謝辞を述べ、大きな拍手を浴びました。

謝衣旻七段と藤沢が所属するチームの監督・鈴木伸二八段

日本チーム準優勝20年ぶり優勝逃す 第27回農心杯

日本が世界のトップと肉薄してきたことを証明(日本棋院

日中韓の3チームが5人の勝ち抜き戦で争う「農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」が、2月6日、中国・深圳市で最終戦が打たれ、韓国の申眞諝九段が日本の一力遼九段を下し、優勝を果たしました。

日本は井山裕太九段が3連勝し、あと1勝として一力九段にバトンを渡しました。相手の申眞諝九段は農心杯だけで16連勝、対海外棋士32連勝となり、とてつもない大きな壁です。

見損じを申九段につかれて大逆転負け(日本棋院提供)

一力九段はずっとやや優勢で進めたのですが、ひとつ見損じがあり、そこを申九段につかれて大逆転負けとなってしまいました。

井山九段が中韓のトップ棋士3人を倒しただけに、なんとも残念なシリーズでした。

しかし、日本が世界のトップと肉薄してきたことを証明し、また、スランプだった井山九段が本来の強さを取り戻したことに明るい未来が見えてきた気がしました。

世界戦はまだまだ続きます。ぜひ応援をお願いします。

賞金ランキング発表

五冠は囲碁界3人目の快挙

年始恒例、前年の賞金ランキングが日本棋院、関西棋院それぞれで発表されました。

トップは一力遼棋聖の1億2543万1864円で、3年連続3回目の賞金王。棋聖、名人、天元、本因坊に王座も加え、囲碁界3人目の五冠になり躍進しました。

2位以下は下記のとおり。

2位:芝野虎丸十段 4888万9792円

3位:井山裕太碁聖 4383万6527円

4位:上野愛咲美女流名人 4109万3242円

5位:上野梨紗女流棋聖 2831万1444円

6位:藤沢里菜女流本因坊 2076万566円

7位:許家元九段 1751万5741円

8位:三浦太郎五段 1327万7000円

9位:福岡航太朗七段 1296万円7270円

10位:酒井佑規七段 1017万9600円

井山碁聖のみ30代で、あとは20代以下(上野女流棋聖と福岡七段は10代)と、若手中心の時代を象徴する結果となりました。

関西棋院は獲得賞金が1000万円を超える棋士についてのみの発表で、

1位:余正麒九段 2049万4438円

とのことです。

逆にいえば、他の棋士は1000万円に届いていないということ。厳しい世界ということもよくわかる発表となりました。