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碁聖戦の挑戦者は芝野虎丸十段に決定 

5月はハードスケジュールだった芝野十段

井山裕太碁聖への挑戦者を決めるトーナメント決勝戦が5月29日に日本棋院東京本院で打たれ、芝野虎丸十段が挑戦者となりました。

決勝戦は芝野十段と大竹優七段との間で争われました。

初めて挑戦者決定戦に勝ち進んだ大竹優七段は長野県出身の23歳。中部総本部所属で本因坊リーグに在籍経験もある若手のホープです。

準決勝ではこれまで1度も勝ったことのない一力遼棋聖を破って決勝に臨みました。勢いがあります。

芝野虎丸十段も先月に十段位を井山裕太王座から奪って無冠を返上。今年は好調を維持していますが、4日前に本因坊戦挑戦手合五番勝負大2局で一力遼本因坊に黒星を喫し、カド番に追い込まれたばかり。

準決勝で一力遼棋聖を初めて破った大竹七段

一力棋聖に対して明暗が分かれている両者。対局は芝野十段が序盤の折衝で奪ったリードをそのまま守り、勝ちきりました。

芝野十段は5月だけで7局手合いがあり、タイトル戦は移動日もありますので、ハードスケジュールで動いています。

十段戦に続いて2回目の井山―芝野のタイトル戦となる碁聖戦は、6月25日に開幕します。

名人戦リーグ全勝対決は井山王座に軍配

序盤で抜け出し、勝ち切った

一力遼名人への挑戦権を争う名人戦リーグは、全勝の井山裕太王座と福岡航太朗七段が激突する天王山を迎えました。

井山裕太王座は今年、棋聖戦で一力遼棋聖と戦っている最中から調子を落としてきました。勝っている碁をそのまま矛を収めず、さらに追及するなど自ら勝ち星を逃がすような戦いが散見され、3勝1敗と追い込んでいたのに、棋聖返り咲きを逃しました。棋聖戦が終わると、芝野虎丸九段との十段戦防衛戦に望みましたが、それも三連敗でタイトルを奪われました。対戦成績も10勝11敗と負け越し、プロ入りしてもっとも勝ち星に恵まれない状況。そんな中でも名人リーグは勝ちを維持し、全勝を守っていました。

破竹の勢いで、初リーグを全勝で走り、目下12連勝中の福岡航太朗七段と、井山王座との全勝対決は5月15日に打たれました。

今年は本調子ではなかった井山王座

対局前の予想では福岡有利ともいわれていましたが、蓋をあけてみれば序盤で抜け出した井山王座がそのまま勝ちきり、全勝を守り、名人挑戦に大きく前進しました。

残り3戦。「やることはかわりません。ひとつひとつ全力を尽くします」と井山王座。

挑戦権の行方にも目が離せません。

第80期本因坊戦挑戦手合五番勝負が開幕 一力遼本因坊が初戦を制す

リードを守り切った(写真は名人戦)

一力遼本因坊に芝野虎丸十段が挑戦する第80期本因坊戦挑戦手合五番勝負が5月14日に開幕し、一力本因坊が幸先のよい1勝を挙げました。

本因坊戦第1局の対局場は山梨県甲府市「常磐ホテル」。同所は「決着の常磐ホテル」といわれるほど、番碁の最後のほうにセットされることが多く、第1局での開催は新鮮に思えます。

一力本因坊も常磐ホテルでは何度も対局経験がありますが、「相手はいつも井山(裕太王座)さんだったので、芝野さんというのも新鮮な気持ちです」と対局前、話していました。

今年に入っての一力本因坊の成績は10勝7敗と、勝ち越してはいるものの、一力本因坊にしては少々物足りない感じがします。

対して芝野十段は今年、18勝3敗で国内戦は1敗しかしていないほど絶好調。

第2局は秋田・能代で開催(写真は名人戦)

どんな戦いになるかと見ていましたら、序盤の分かれで一力本因坊が一本取り、そのリードを守り切って勝利をつかみました。

当日、現場で開催された大盤解説会には、癌闘病を公表している趙治勲名誉名人が元気な姿を見せたのは、ファンにとって嬉しい時間になったでしょう。

本因坊戦第2局は5月25日秋田県能代市で打たれます。

三浦太郎新人王がテイケイグループ杯俊英戦で優勝

酒井六段をストレートで下し優勝した三浦太郎四段(日本棋院提供)

第4回テイケイグループ杯俊英戦の決勝三番勝負第2局が5月3日に打たれ、三浦太郎四段が酒井佑規六段に勝ち、2連勝のストレートで優勝を決めました。

三浦四段は昨年秋に新人王も獲得し、今、最も脂ののっている若手のひとりです。準優勝となった酒井佑規六段も、2022年には新人王を獲得しており、次代を期待される棋士のひとりで、その棋風は「混沌流」と呼ばれています。

テイケイグループ杯は、俊英戦、レジェンド戦、女流レジェンド戦の3つがあります。レジェンド戦は60歳以上で七大タイトル獲得経験者らが出場し、現在は片岡聡九段がタイトルホルダーです。女流レジェンド戦は45歳以上かつ女流棋戦タイトル獲得経験棋士が出場でき、小林泉美六段が2連覇中でタイトルを保持しています。

俊英戦は25歳以下の棋士で、優勝すると時期以降出場できない規定。

第1回優勝が許家元九段、第2回が一力遼棋聖、そして第3回が芝野虎丸十段と歴代トップ棋士が名を連ねています(芝野十段は、第1回、第2回ともに準優勝)。

一力棋聖、芝野十段らが抜けた本棋戦、次世代を担う期待の若手として三浦太郎四段が優勝したのです。

テイケイ杯俊英戦の優勝賞金は1000万円。皆さんご存じのNHK杯の賞金が500万円ということから見ても、高額といえるでしょう。

左から4人目が三浦四段、右から4人目が小林泉美六段(テイケイグループ杯女流レジェンド)

先日、棋士控え室で会って「優勝おめでとうございます」とお声かけができました。その際、棋士仲間たちに「優勝賞金の使い道は?」などと聞かれていましたね。

三浦四段はよく、私が観戦記担当の名人戦リーグの記録係を担当していますが、何しろ字が上手で、丁寧。三浦四段がつける棋譜はすばらしく芸術品、というのが印象的です。

今後の注目棋士として、ぜひ名前を覚えておいていただきたいと思います。

名人戦挑戦者の行方は井山と福岡に絞られたか 芝野2敗で後退

一力遼名人への挑戦権をかけて争う第50期名人戦リーグ戦は4月28日に第5ラウンドが終了しました。全勝の井山裕太王座、福岡航太朗七段の首位グループを1敗で追う芝野虎丸十段がまさかの2敗目を喫し、挑戦者争いから大きく後退しました。

芝野十段は今年、絶好調でした。ここまで16勝2敗。2敗は国際戦(1勝2敗)なので、国内負けなしの15連勝だったのです。

今期名人戦リーグは昨年12月に始まり、芝野十段は初戦で井山王座に負けており、2勝1敗の状況で、2勝2敗の許家元九段との対戦を迎えました。

許九段との対戦成績は芝野十段の23勝14敗と大きく勝ち越しています。しかし、今回は許九段にずっと主導権を握られ、形勢もリードすることなく敗戦となりました。

当日、芝野十段も許九段も(ついでに記録係の柳井一真初段も!)しばしば鼻をかんでいたので、花粉症かなと見ていたのですが、芝野十段は咳もしていたので、体調も万全ではなかったのかもしれません。ご本人は「対局には問題なかったので、大丈夫です」とおっしゃっていましたが。

これで名人戦リーグは1敗者が消え、5連勝の福岡七段、4連勝の井山王座に挑戦者争いは絞られたように思います。

注目の井山―福岡戦は、5月15日に打たれます。