若手棋士を対象とした教養講座 上野愛咲美女流・梨紗女流棋聖姉妹らがマナーとコミュニケーションを学ぶ

藤沢一就八段門下の若手棋士を対象に、「世界で活躍する人材を育成し生きる力を醸成する教養講座」のひとつとして、「マナー&コミュニケーション講座」が2月21日に新宿こども囲碁教室(東京都新宿区・藤澤一就八段主宰)にて行われました。

講師は人材育成コンサルタント・ビジネスコーチの平塚惠理子氏(オフィスノヴァエラ(株)代表取締役)。

内容はマナーとはいえ、挨拶、身だしなみ、表情、立ち振る舞い(立ち方、歩き方座り方、お辞儀の仕方、名刺交換の仕方)、上座の見分け方、適切な言葉遣いなど多岐にわたる内容で、座学だけでなく、実践も含め、11人の棋士がたっぷり3時間、ビジネスの常識やマナーを学びました。

上野愛咲美女流立葵杯は「知らないことばかりで、これからすぐに実践できることが学べてよかったです。貴重な機会をいただきました」。「名刺の渡し方が複雑で覚えるのが大変。お辞儀も今までペコペコしてしまっていましたが、1、2回でいいと学び、これから気をつけたいと思いました。元気のよい声ではきはきと挨拶するよう心がけます」と抱負を語ったのは広瀬優一七段。

愛される棋士になることも、囲碁普及には大事だと思います。

このような講座は、新人棋士皆に受講してもらうのがいいと改めて感じました。

ファッションショーとペア碁のコラボレーション

ゆうきゅう戦コシノジュンコクリスタルCUP~13路盤プロペア碁トーナメント~

上野・芝野ペアが優勝

ペア碁をご存じですか。男女ペアが一手ごと交代で囲碁のルールで打っていくゲームで、アジア大会で採用されたこともあるなど、ひとつの競技として確立しています。
1月末に藤澤一就一門後援会設立1周年を記念して「ゆうきゅう戦JUNKOKOSHINO CRYSTAL CUP」が開催されました。

ペア碁はアジア大会でも採用された

藤澤一就門下と選抜された棋士、8組16人が男女ペアになって13路盤で優勝をトーナメントで争うイベントです。
ペア碁は紳士淑女の競技ということで、ドレスアップして臨むのがマナーで、会場は大変華やかです。
決勝戦は上野梨紗女流棋聖・芝野虎丸九段ペアVS小林泉美七段・関航太郎九段。
13路盤といえども白熱した戦いが繰り広げられ、上野・芝野ペアが優勝し賞金30万円を手にしました。

さらに、今回の目玉はデザイナーで囲碁にはまってらっしゃるコシノジュンコさんが囲碁をイメージしたミニファッションショーが行われたことです。
多くの参加者が初めて目の当たりにして、感動感激しました。

囲碁を知らない人にも関心を持ってもらえる、ファッションショーとのコラボは新しい試みです。
普及の手段をいろいろ考えている人は多く、今後もこのようなイベントは増えていくことでしょう。

五代目棋士誕生 4月に関山穂香さんがプロに

関山利道九段と穂香さん父子(関山利道九段提供)

2025年4月に入段(プロ入り)する新人が次々決まってきています。

今回、日本棋院関西総本部の女流特別採用棋士に関山穂香さん(17歳)が決まりました。

これまで四代続く棋士の家系として、

木谷實九段→三女・小林(旧姓木谷)禮子七段→長女・小林泉美七段→長女・張心澄二段、次女・張心治初段

が有名でしたが、それを超える5代続く棋士一家が誕生したのです。

穂香さんは日本棋院・関西棋院を通じて初めて、5代目の棋士になります。

提供・日本棋院

穂香さん(2007年6月生まれ)の師匠、関山利道九段(関西棋院棋士 1973年6月生まれ)は父親でもあり、4代目棋士です。昨年公開された映画「碁盤斬り」の最初のタイトルが出てくるシーンで、ちょんまげを結って盤上に石を打ち付けているのが、利道九段です。

3代目は関山利夫九段(関西棋院棋士 1937年7月~1992年9月)。

2代目の関山利一九段(日本棋院から関西棋院に転籍。1909年12月~1970年1月)は、第1期本因坊で「利仙」と名乗りました。

初代の関山盛利四段は、日本棋院関西支部(関西総本部の前身)所属で、明治8(1875)年生まれ。今年はちょうど生誕150年にあたります。段位は三段であったことは確認されているのですが、関山家伝承では四段だったので、関山家を尊重して四段としています。

ぜひNHKのファミリーヒストリーなどで取り上げてはっきりしたものが知りたいですね。それには穂香さんの活躍を期待したいと思います。

最年長対局記録を更新し続ける杉内寿子八段

今年、杉内寿子八段の最高齢勝利なるか(日本棋院提供)

囲碁棋士は比較的長寿で、棋士生命も長いといわれています。

将棋界では「盤寿」という言葉があるそうです。将棋盤は9×9=81のマス目がありますので、81歳を迎えておめでたい、ということのようです。将棋棋士は81歳を迎える人が少ないということからお祝いを、という意味ときいています。

一方、囲碁棋士は81歳で現役の棋士は何人もいますので、ご存命くらい(!)ではお祝いにはなりません。

とはいえ、現役最高齢の杉内寿子(すぎうち・かずこ)八段は別格といえるでしょう。杉内八段は昭和2(1927)年3月6日生まれで、もうすぐ98歳になります。

実は夫の故・杉内雅男九段が以前の最年長対局記録を持っていました。

雅男九段は大正9(1920)年10月20日生まれ。平成29(2017)年11月21日に逝去されました。最後の対局が97歳1ヶ月(2017年11月2日)で亡くなる19日前に対局されていたのですね。寿子八段はこの記録を更新し続けているのです。

今年初戦の石倉昇九段(左)との対局で70日更新(日本棋院提供)

雅男九段の最後の勝利は2017年8月24日で、最高齢勝利、96歳10ヶ月の記録も持っています。寿子八段の最高齢勝利がいつかも、注目されています。

ただ、昨年は10戦10敗。今年初戦が1月23日に打たれ、最年長対局記録は97歳10ヵ月17日で70日更新されましたが、勝利はなかなか遠いようです。

ちなみに対局相手は佐川八重子社長の師匠、石倉昇九段でした。

2024年賞金ランキング発表

2年連続1億円超えの一力遼棋聖

1月の風物詩、囲碁界の賞金ランキングが発表されました。

囲碁界の「賞金」とは、いわゆる優勝した際などの賞金と対局料を合計したものです。なので、タイトルを獲っていなくても、賞金ランキングに名前が連なるのです。

1位 一力遼棋聖・名人・天元・本因坊 121、815,066円

2位 井山裕太王座・碁聖・縦断 57、449,414円

3位 芝野虎丸九段 48、370,316円

4位 藤沢里菜女流本因坊・女流名人・扇興杯 35、187,216円

5位 上野愛咲美女流立葵杯 20、390,526円

6位 許家元九段 15,562,094円

7位 山下敬吾九段 13,423,000円

8位 関航太郎九段 11,952,000円

9位 福岡航太朗七段 11,345,000円

10位 上野梨紗女流棋聖 9,770,000円

1位の一力遼棋聖は2年連続2回目。1億円超えですね。

井山裕太王座は唯一の30代

10代は福岡航太朗七段、上野梨紗女流棋聖のふたりです。10代からこんなに稼いでくれるなんて、なんと親孝行なのでしょうか。と、自分が学生のころ思ったものですが、「これが一生続くわけではないんだよ」と棋士に諭されました。

名を連ねているのは20代が中心。40代は山下敬吾九段だけですし、30代も井山裕太王座だけ。以前はこれほど若年化はしてなかったと思いますが、それでも50代以降でベスト10に入るのは大変なことです。

3位は芝野虎丸九段

ベテランの棋士は解説や指導などに時間を割くことになるのでしょう。

なお、関西棋院も別に発表があり、

1位 余正麒八段 14、779,000円

以上、とのことです。

関西棋院は獲得賞金が1000万円を超える棋士についてのみ発表するということです。

これから棋士を目指す人が憧れるような賞金であってほしいと願います。