Monthly Archives: 11月 2025

一力遼棋聖が王座も奪取、史上3人目の五冠に

精神面での課題を克服

井山裕太王座に一力遼棋聖が挑戦する王座戦五番勝負第4局が11月21日に打たれ、一力棋聖が3勝1敗でシリーズを制し、初めて王座を奪取、棋聖、名人、天元、本因坊とあわせて五冠となりました。同時に五冠保持したのは、張栩九段、井山裕太碁聖(七冠保持)に続いて史上3人目です。

師匠の宋光復九段は「初めての出会いから20年以上のなかで、様々なことを乗り越えてきました。特に内面の優しさから来る勝負師になりきれない精神面での課題を大変な思いのなかで克服しました。どんな状況でも日々の研鑽を怠らない姿勢は師匠の私から見ても立派です。若い棋士たちの模範となっていることでしょう。更なる飛躍を楽しみにしております」とコメントしました。

重要な対局が続く

一力新王座は「これからも重要な対局が続きます。一局一局戦って少しでも成長できれば」とさらに前を向いています。

破れた井山碁聖は2011年11月、初タイトル名人を獲得したとき以来の一冠に後退しました。

一力新王座は来年年明けにLG.杯決勝が控えています。今後の活躍にも注目です。

仲邑菫四段が若手女流棋戦「ヒョリム杯未来の女帝最強戦」で優勝

韓国移籍後、初のタイトル獲得(韓国棋院提供)

韓国棋院客員棋士として活躍する仲邑菫四段が韓国で初優勝を果たしました。

「第4期ヒョリム杯未来の女帝最強戦」は若手(今回は2003年以降の生まれ)の女子棋士を参加対象にする棋戦で、過去に優勝した棋士は出場できません。

決勝に残ったふたりは、韓国女子ランキング4位の仲邑菫四段と18位の鄭有珍五段(2006年生まれ、19年入段)。

持ち時間は20分、1手ごとに20秒追加されるフィッシャー方式で、超早碁での決勝一番勝負で黒番中押し勝ちを収めました。

決勝はランキング4位と18位の対決に(韓国棋院提供)

優勝賞金は1千万ウォン、準優勝400万ウォン。

ひとつ結果を出して、仲邑四段もほっとしていることでしょう。

第50期棋聖戦 芝野虎丸十段が挑戦者に

芝野十段(右)は壁を破れるか

一力遼棋聖への挑戦者を決めるトーナメント決勝戦第2局が打たれ、芝野虎丸十段が勝って挑戦権を獲得しました。

棋聖戦はパラマス方式を採り入れています。まずCリーグ入りを決めるファーストトーナメントが行われ、前期残留者とともにCリーグメンバーが決まります。

Cリーグ優勝の福岡航太朗七段はBリーグ優勝の張栩九段に勝ち、Aリーグ優勝の高尾九段も破りましたが、Sリーグ2位の許家元九段に敗れました。

Sリーグ1位の芝野十段と許九段の決勝戦は、芝野十段が1勝のアドバンテージがある変則三番勝負で行われました。10月30日の第1局は許九段が勝ちましたが、11月3日の第2局に芝野十段が勝って挑戦者となりました。

1勝1敗もアドバンテージで芝野十段が挑戦権

来年1月の開幕戦は、第50期を記念してハワイで行われます。芝野十段はアメリカには行ったことがなく、それは楽しみということです。

一力棋聖からはタイトルを奪取されたことはあっても、奪取したことがない芝野十段。壁を破れるか、注目です。