Monthly Archives: 8月 2025

天元戦挑戦者に志田達哉八段 芝野虎丸十段の連続挑戦はならず

一力遼天元への挑戦者を決めるトーナメントの決勝戦が8月22日に日本棋院で打たれ、志田達哉八段が芝野虎丸十段を破って挑戦者に名乗りをあげました。志田八段の七大タイトル挑戦は初めてのことです。昨年、天元戦挑戦者だった芝野十段の連続挑戦とはなりませんでした。

右が志田八段(日本棋院囲碁チャンネルから撮影)

志田八段は福井県出身の34歳。日本棋院中部総本部所属。

若鯉戦(第2回は非公式戦)優勝、新人王戦準優勝など若手棋戦で活躍してきましたが、2018年にNHK杯で準優勝して全国に名が知れました。さらに2023年にタイトル獲得経験のない中堅棋士が参加するSGW戦で優勝しました。

ふだんから口数が少なく、携帯電話を持ったことがないというのは有名な話(連絡は家の電話でするそうです)。

対局中は石音を立てずにそっと打つのが特徴で、いつ打ったかわからないので記録係泣かせと言われています。

また、若い頃は細い身体をしていたのを見て、先輩棋士の彦坂直人九段が「ジムに行って身体を鍛えたら」とアドバイスをしたところ、素直に通い始めたという面もあります。

しゃべるのが苦手なのか、解説役は引き受けないという信念があったのですが、SGW戦では優勝旗士が翌年の大盤解説をやるという決まりがあって、昨年初めて解説をしました。

挑戦者となってのインタビューには「芝野さんに勝てると思っていなかったので嬉しいです」とこたえていました。

芝野十段は2日前に碁聖戦で敗れたばかり。過密日程が気になります。

8月26日には挑戦者として臨む名人戦七番勝負が開幕します。

井山裕太碁聖が防衛 芝野虎丸挑戦者を退ける

2勝2敗で最終第5局の決着に

井山裕太碁聖に芝野虎丸十段が挑戦する第50期碁聖戦挑戦手合五番勝負第5局が8月20日に打たれ、井山碁聖が勝って防衛を果たしました。

井山碁聖は今年2月ころから棋士人生初めてという不調に陥っていました。一力遼棋聖に挑戦した棋聖戦では3勝1敗と追い込んでいたのに失速。勝ちに大きく近づいてからの逆転負けが続き、タイトル奪還とはなりませんでした。

3、4月に打たれた十段戦ではストレートで芝野虎丸挑戦者にタイトルを奪われます。

名人戦挑戦者決定リーグはトップを独走し、2勝差をつけていたのに、最後に2連敗して追いつかれ、芝野虎丸十段とのプレーオフでも勝てず、挑戦権を逃していました。

芝野十段は井山碁聖に2年連続でタイトル獲得を阻止された

そんななか打たれた碁聖戦は第1局芝野勝ち、第2局井山勝ち、第3局芝野勝ち、第4局井山勝ちと、一進一退で最終第5局を迎えました。

難しい戦いを制し、井山碁聖が中押し勝ちをおさめ、防衛となりました。

芝野「勘違いした部分があり、苦しい時間が長かった。結果は仕方がないかな。負けた碁は内容的に苦しい碁が多かった」

棋士人生初めてという不調を乗り越え

井山「序盤はまずまずかなと。いろいろ選択と判断に迷いました。今年は結果が出ずに苦しい時期が長かった。結果に結びついた。非常に大きな防衛になりました」

これをきっかけに、井山碁聖が復調することを期待しています。

台湾の「海峰棋院」を訪問しました

左から林敏浩院長、林芳美さん、私(内藤)、私の大学時代の友人で、海峰棋院からのお土産のトートバッグを持っています

8月1日~台湾に行ってきました。大きな目的は故宮博物院で囲碁展を開催しているというので、見学したいと思ったからです。

博物館を観に行く前に、台湾に到着したその日、台湾の「海峰棋院」を見学させてもらいました。

「海峰棋院」は、言わずと知れた林海峰名誉天元のお名前がついた棋院です。

台湾の第1期名人戦で優勝した林文伯さんが、その賞金を元手に事業を興しました。その収益を囲碁に使いたいということで、台湾出身の大棋士・林海峰名誉天元の名前を冠した棋院を1998年に設立しました。

現在では、台湾棋院から棋戦運営を任されていて、台湾囲碁界の中心的存在になります。

現在は林海峰名誉天元の長男である林敏浩さんが院長を務め、囲碁普及や棋戦運営、棋士育成に務めています。

この日は、林海峰名誉天元の長女である林芳美さんもちょうど日本から来ていて、一緒に海峰棋院を案内してもらいました。

大きなビルのワンフロアが海峰棋院で、対局室は椅子席だけです。和室での対局は日本独特のものです。

林海峰名誉天元が日本で活躍したこともあり、台湾とはとても関係が深く、プロの間でも交流戦をよくやっています。お互い切磋琢磨して向上していけたらいいですね。

ペア碁ワールドフェスティバル2025 大阪・関西万博会場に世界中から碁プレイヤーが集合

プロ棋士ペア碁選手権は上野・佐田ペアがV
国際アマペア碁戦は中国ペアが制す

囲碁のもうひとつの楽しみ方であるペア碁。男女ペアで交互に打って行きます。世界ペア碁協会には78ヵ国・地域が加盟しているほど、世界的に人気のある競技になっています。

例年は、「プロ棋士ペア碁選手権」とアマチュアの「国際アマペア碁戦」「世界学生ペア碁選手権大会」「荒木杯ハンデ戦」「世界公式ハンデ戦」「U-15世界ジュニアペア碁選手権大会」は別日に開催されていましたが、今年は会場を大阪・関西万博EXPOメッセ「WASSE」での特別プログラムのため、「ペア碁ワールドフェスティバル2025」と題して、さらに「関西ジュニアペア碁大会」も加え、8月9、10日の両日にわたり、プロアマ全部(!)が一堂に会して盛大に開催されました。

プロ棋士ペア碁選手権は、向井千瑛六段・許家元九段ペアを下し、上野梨紗女流棋聖センコー杯・佐田篤史七段ペアが優勝しました。上野女流棋聖センコー杯は、ペア碁初出場初優勝です。

佐田「優勝したことのないペア碁で結果を出せました。シングルからペア碁に転向したいくらい嬉しい。次もでられるよう頑張りたいです」

上野「決勝に進むまで険しい道のりでしたが、わくわく楽しみの碁が多かった。ペア碁を練習したときは、正直大丈夫かなと思っていました。私が攻めの棋風で、佐田さんが守りの棋風なので。でもだんだんつかめてきて、最後はなんとか勝てました」

国際アマペア碁戦で日本勢最高位の金子・佐藤ペア

国際アマペア碁戦では中国ペアが優勝。日本勢最高位は3位の金子もと子・佐藤洸矢ペアでした。