一力遼棋聖が「第10回応氏杯世界選手権決勝五番勝負」で謝科九段(中国)に2連勝し、初の世界タイトルまであと1勝としました。

応氏杯は、中国の応昌期さんが出資してできた棋戦で、4年に1度開催されます。賞金は40万ドルで、棋界最高額。

独特なルールがあるのが特徴です。

プロの棋戦はほぼ必ず持ち時間を使い切ると秒読みがあるのですが、応氏杯は持ち時間を使い切ると、決勝戦ではコミ2目を払って35分をもらう(3回まで)というまさに「タイムイズマネー」ルールがあります。

上野愛咲美新人王は、応氏杯予選2回戦で、元世界チャンピオンの朴廷桓九段に惜敗したのですが、最後、コミを払うかどうか迷ったのが命取りになりました。

一力棋聖は5月から公式戦13勝1敗と、ただ今絶好調。1敗は国手山脈杯2回戦での申眞諝九段(韓国)に喫したものです。お気づきでしょうか。応氏杯は変則ルール(秒読みがなく、持ち時間が切れたらコミを払う)のため、公式戦にカウントされていません。なので、本当は、応氏杯予選の2勝と1,2回戦、そして柯潔九段(中国)との準決勝三番勝負での2勝1敗がプラスされるほど勝っているのです。

日本はコミが6目半ですが、中国ルールのため、コミはいわゆる7目半計算。

黒番で打つときはいつもより1目多く勝たなければなりません。

第1局は一力棋聖が黒番でした。地を稼ぎ、相手の地の中で深遠な読みの裏付けのある絶妙手を放ち勝利。

第2局もしっかり細碁を勝ちきりました。

第3局以降は9月8日~中国で予定されています。

そのころは、名人戦七番勝負の真っ最中。

第2局宮崎対局から帰ってきた翌日に中国に発つ強行日程になりますが、今の一力棋聖からは不安材料も見当たりません。

期待は膨らむばかりです。

ぜひ皆さんも応援よろしくお願いします。