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台湾の「海峰棋院」を訪問しました

左から林敏浩院長、林芳美さん、私(内藤)、私の大学時代の友人で、海峰棋院からのお土産のトートバッグを持っています

8月1日~台湾に行ってきました。大きな目的は故宮博物院で囲碁展を開催しているというので、見学したいと思ったからです。

博物館を観に行く前に、台湾に到着したその日、台湾の「海峰棋院」を見学させてもらいました。

「海峰棋院」は、言わずと知れた林海峰名誉天元のお名前がついた棋院です。

台湾の第1期名人戦で優勝した林文伯さんが、その賞金を元手に事業を興しました。その収益を囲碁に使いたいということで、台湾出身の大棋士・林海峰名誉天元の名前を冠した棋院を1998年に設立しました。

現在では、台湾棋院から棋戦運営を任されていて、台湾囲碁界の中心的存在になります。

現在は林海峰名誉天元の長男である林敏浩さんが院長を務め、囲碁普及や棋戦運営、棋士育成に務めています。

この日は、林海峰名誉天元の長女である林芳美さんもちょうど日本から来ていて、一緒に海峰棋院を案内してもらいました。

大きなビルのワンフロアが海峰棋院で、対局室は椅子席だけです。和室での対局は日本独特のものです。

林海峰名誉天元が日本で活躍したこともあり、台湾とはとても関係が深く、プロの間でも交流戦をよくやっています。お互い切磋琢磨して向上していけたらいいですね。

ペア碁ワールドフェスティバル2025 大阪・関西万博会場に世界中から碁プレイヤーが集合

プロ棋士ペア碁選手権は上野・佐田ペアがV
国際アマペア碁戦は中国ペアが制す

囲碁のもうひとつの楽しみ方であるペア碁。男女ペアで交互に打って行きます。世界ペア碁協会には78ヵ国・地域が加盟しているほど、世界的に人気のある競技になっています。

例年は、「プロ棋士ペア碁選手権」とアマチュアの「国際アマペア碁戦」「世界学生ペア碁選手権大会」「荒木杯ハンデ戦」「世界公式ハンデ戦」「U-15世界ジュニアペア碁選手権大会」は別日に開催されていましたが、今年は会場を大阪・関西万博EXPOメッセ「WASSE」での特別プログラムのため、「ペア碁ワールドフェスティバル2025」と題して、さらに「関西ジュニアペア碁大会」も加え、8月9、10日の両日にわたり、プロアマ全部(!)が一堂に会して盛大に開催されました。

プロ棋士ペア碁選手権は、向井千瑛六段・許家元九段ペアを下し、上野梨紗女流棋聖センコー杯・佐田篤史七段ペアが優勝しました。上野女流棋聖センコー杯は、ペア碁初出場初優勝です。

佐田「優勝したことのないペア碁で結果を出せました。シングルからペア碁に転向したいくらい嬉しい。次もでられるよう頑張りたいです」

上野「決勝に進むまで険しい道のりでしたが、わくわく楽しみの碁が多かった。ペア碁を練習したときは、正直大丈夫かなと思っていました。私が攻めの棋風で、佐田さんが守りの棋風なので。でもだんだんつかめてきて、最後はなんとか勝てました」

国際アマペア碁戦で日本勢最高位の金子・佐藤ペア

国際アマペア碁戦では中国ペアが優勝。日本勢最高位は3位の金子もと子・佐藤洸矢ペアでした。

歌あり演奏あり、もちろん囲碁もある「洪道場20周年記念・音楽がある祝賀会」に行ってきました

盛りだくさんの催しは5時間近くに及んだ

一力遼棋聖、芝野虎丸十段、藤沢里菜女流本因坊らを育てた洪道場が20周年を迎え、祝賀会が6月28日に開催されました。場所はなんと「高円寺スタジオK」(東京都杉並区)という音楽スタジオ。道場主催の洪清泉四段は大の音楽好き(で、歌も大変上手!)、ということで選んだといいます。碁を打つのはもちろん、飲んで食べて、歌って奏でるという盛りだくさんな内容で、お祝いに駆けつけたファンも大満足でした。

囲碁大使となった歌手のJoannaさんも登場

音楽スタジオを借りて、さらにプロのミュージシャンによる生バンドの演奏で、棋士たちが次々ステージに上がって歌うという、前代未聞(!)の催しです。

午後3時半にスタートし、歌い演奏したあとは休憩時間に飲んだり食べたり。歌は15分刻みで進んでいき、午後8時過ぎまで5時間ちかく、盛りだくさんのスケジュールです。

囲碁大使となった歌手のJoannaさんの圧巻のステージあり、出身棋士だけではなく、林漢傑七段、大橋拓文七段(ピアノ)、藤井浩貴三段ら他の門下の棋士らの演奏もあり、盛り上がりました。

当日は「日本女子リーグ」の最終日とも重なり、藤沢里菜女流本因坊や一力遼棋聖の姿が見えなかったのは残念でしたが、芝野虎丸十段は女子リーグの解説を終えて駆けつけていました。

多くのプロ棋士を送り出している

予定にはなかったようですが、その場で呼ばれ、虎丸十段も小山空也七段、小池芳弘七段らと歌声を披露して大きな拍手を浴びていました。

現在の日本のプロは、洪道場なくしては語れません。末永く続くことをお祈り申し上げます。

アマ名人戦三番勝負 夏冰アマ名人が二連覇

「1局目も2局目も自分らしく力を出し切れた」と振り返った

アマチュアの日本一を決めるアマ名人戦三番勝負が7月19、20日に打たれ、夏冰アマ名人が挑戦者の栗田佳樹さん(東京代表)を2勝0敗のストレートで退け、初防衛を果たしました。

朝日アマ囲碁名人戦は、アマ棋戦で唯一の挑戦手合制を採用しています。

7月5、6日にあった全国大会で栗田さんは優勝し挑戦権を獲得しました。

栗田さんは過去、2018年(第13期)にアマ名人となったり、唯一アマの参加ができる棋聖戦で2019年のファーストトーナメントを勝ち上がってCリーグ入りし、3勝を挙げ残留した実績があるトップアマの一人だ。

当時は学生だった栗田さんも、現在は社会人となった。

夏さんは「これまで栗田さんとは2局打っていますが、勝ったことがありませんでした。1局目も2局目も自分らしく力を出し切れました。去年、大関稔さんに勝ってアマ名人になり、今年は栗田さんに勝って防衛。大関さんも栗田さんもトップアマですので、二人を倒せたのは自信になります。来期も自分らしい碁が打てるよう頑張ります」と喜びを語りました。

右から夏冰アマ名人、解説の孫喆七段、栗田佳樹挑戦者(Youtube中継出演後に撮影)

負けた栗田さんは「今回の三番勝負にあたって、布石など準備してきました。しかし2局とも簡単なミスで敗れて、ふがいない。なんか信じられません。自分の実力なので仕方ない。また頑張ります。今回の結果はまずかったので次回も頑張りますが、全国を勝ち抜くのは大変だということは身にしみています。準備して臨みたいと思います」と反省しながら気持ちを新たにしていました。

上野梨紗女流棋聖、扇興杯初優勝で二冠に

公式戦8連敗で心が折れかけていた中、見事なV

第10回扇興杯女流最強戦(協賛:センコーグループホールディングス株式会社)の決勝戦が7月13日に打たれ、上野梨紗女流棋聖が藤沢里菜女流本因坊に勝って初の扇興杯を獲得しました。

7月11日には扇興杯に勝ち上がっていた4人が滋賀県東近江市の「迎賓庵あけくれ」に集まりました。準決勝の組み合わせは上野梨紗女流棋聖対加藤千笑三段、藤沢里菜扇興杯対上野愛咲美女流名人で、上野梨紗女流棋聖と藤沢里菜扇興杯が勝って決勝に駒を進めました。

13日の決勝戦は激戦の末、ヨセ勝負となりました。半目勝負だったのですが足りないとみた藤沢扇興杯が勝負手を打ちましたが、上野梨紗女流棋聖がうまく対応し勝利。藤沢扇興杯の二連覇はなりませんでした。

激戦の末、ヨセ勝負を制した

上野梨紗「初めて扇興杯では決勝に進んだので、前夜はわくわくしていました。相手の里菜先生は強すぎるのでこんな結果になるとは思いませんでした。実は公式戦8連敗していて、心が折れかけていました。優勝することができて嬉しく思います」

ちなみに優勝賞金は800万円、準優勝400万円です。

この結果、女流タイトルの勢力図は……

藤沢里菜:女流本因坊

上野愛咲美:女流名人、女流立葵杯、呉清源杯

上野梨紗:女流棋聖、扇興杯、SENKO CUP

となりました。上野姉妹がじわじわ勢力を広げています。

今後も注目です。