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一力遼名人が3勝目。名人防衛まであと1勝

2連覇に王手

一力遼名人に芝野虎丸十段が挑戦する第50期名人戦第4局が神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて9月22、23日の両日に打たれ、一力名人が勝ってタイトル防衛まであと1勝としました。

名人戦第1局は大逆転で名人が勝利。第2局は壮絶な読み合いを制し、名人連勝。第3局は序盤の死活で名人に読み抜けがあり、2日目午後3時のおやつ時間前に名人が投了し、挑戦者初勝利。

意地を見せられるか

第4局は中盤からリードを広げ、1日目で名人のAI評価値が95%を超え、2日目午前11時37分に芝野十段が投了し、異例の早さでの終局となりました。

名人戦で私が担当した22期以降で、午前中で終わった碁はありません。2日目、お昼を食べてすぐ投了、というのが最も早い終局だと思います(第33期名人戦張栩名人―井山裕太挑戦者 井山挑戦者の勝ちなど)。

第5局は10月7、8日に山梨県甲府市「常磐ホテル」にて打たれます。

ここで決着するかどうか。注目です。

異例の速さで終局

井山裕太王座への挑戦者は一力遼棋聖に

快進撃が続く一力棋聖

井山裕太王座への挑戦者を決める第73期王座戦挑戦者決定戦が9月17日に日本棋院本院で打たれ、余正麒八段を逆転で下し、一力遼棋聖が挑戦権を獲得しました。

序盤でリードを奪った一力棋聖でしたが、途中逆転を許し、一時は余八段のAI評価値が98%を超えるほど追い込まれました。しかし、持ち前の粘り強さを発揮し、終盤で大逆転で挑戦権を獲得しました。一力棋聖の王座戦挑戦は7年ぶり3回目。まだ王座のタイトルを獲得したことはありません。

一時は追い込んだが…(余八段)

一力「久しぶりに五番勝負に出られてほっとしています。ベストを尽くせるようがんばります」

余「この碁はチャンスがあったかもしれませんが……。また決勝まで来られるようがんばります」

一力棋聖の快進撃が続いています。井山王座は止められるでしょうか。

王座戦五番勝負は10月17日に神奈川県秦野市「陣屋」で開幕します。

第50期名人戦第2局 in長野県高山村

名人戦史上最長手数に

一力遼名人に芝野虎丸十段が挑戦する第50期名人戦七番勝負。一力名人が第1局に勝って迎えた第2局は長野県高山村にある「藤井荘」にて打たれ、一力名人が白番1目半勝ちをおさめ、連勝となりました。

2日制であるのを忘れたかのようなスピード進行で、初日の手数は128手(=封じ手)となり、これまでの記録である120手を上回る名人戦史上最長手数となりました。

盤上は壮絶な読み合いとなり、立会人の張栩九段、解説の蘇耀国九段、Youtube解説の林漢傑八段らが「神の領域」と驚くほどAIと一致する高レベルの手が次々飛び出しました。

芝野十段の巻き返しはあるか

ただ1カ所、芝野十段が見えていなかった手段を一力名人が実行し、そこで勝負がついたようです。

これで名人の2連勝。芝野十段の巻き返しも期待したいところです。

ハイレベルの戦いは続き、次回第3局は9月11、12日に三重県鳥羽市の「戸田家」にて打たれます。

天元戦挑戦者に志田達哉八段 芝野虎丸十段の連続挑戦はならず

一力遼天元への挑戦者を決めるトーナメントの決勝戦が8月22日に日本棋院で打たれ、志田達哉八段が芝野虎丸十段を破って挑戦者に名乗りをあげました。志田八段の七大タイトル挑戦は初めてのことです。昨年、天元戦挑戦者だった芝野十段の連続挑戦とはなりませんでした。

右が志田八段(日本棋院囲碁チャンネルから撮影)

志田八段は福井県出身の34歳。日本棋院中部総本部所属。

若鯉戦(第2回は非公式戦)優勝、新人王戦準優勝など若手棋戦で活躍してきましたが、2018年にNHK杯で準優勝して全国に名が知れました。さらに2023年にタイトル獲得経験のない中堅棋士が参加するSGW戦で優勝しました。

ふだんから口数が少なく、携帯電話を持ったことがないというのは有名な話(連絡は家の電話でするそうです)。

対局中は石音を立てずにそっと打つのが特徴で、いつ打ったかわからないので記録係泣かせと言われています。

また、若い頃は細い身体をしていたのを見て、先輩棋士の彦坂直人九段が「ジムに行って身体を鍛えたら」とアドバイスをしたところ、素直に通い始めたという面もあります。

しゃべるのが苦手なのか、解説役は引き受けないという信念があったのですが、SGW戦では優勝旗士が翌年の大盤解説をやるという決まりがあって、昨年初めて解説をしました。

挑戦者となってのインタビューには「芝野さんに勝てると思っていなかったので嬉しいです」とこたえていました。

芝野十段は2日前に碁聖戦で敗れたばかり。過密日程が気になります。

8月26日には挑戦者として臨む名人戦七番勝負が開幕します。

井山裕太碁聖が防衛 芝野虎丸挑戦者を退ける

2勝2敗で最終第5局の決着に

井山裕太碁聖に芝野虎丸十段が挑戦する第50期碁聖戦挑戦手合五番勝負第5局が8月20日に打たれ、井山碁聖が勝って防衛を果たしました。

井山碁聖は今年2月ころから棋士人生初めてという不調に陥っていました。一力遼棋聖に挑戦した棋聖戦では3勝1敗と追い込んでいたのに失速。勝ちに大きく近づいてからの逆転負けが続き、タイトル奪還とはなりませんでした。

3、4月に打たれた十段戦ではストレートで芝野虎丸挑戦者にタイトルを奪われます。

名人戦挑戦者決定リーグはトップを独走し、2勝差をつけていたのに、最後に2連敗して追いつかれ、芝野虎丸十段とのプレーオフでも勝てず、挑戦権を逃していました。

芝野十段は井山碁聖に2年連続でタイトル獲得を阻止された

そんななか打たれた碁聖戦は第1局芝野勝ち、第2局井山勝ち、第3局芝野勝ち、第4局井山勝ちと、一進一退で最終第5局を迎えました。

難しい戦いを制し、井山碁聖が中押し勝ちをおさめ、防衛となりました。

芝野「勘違いした部分があり、苦しい時間が長かった。結果は仕方がないかな。負けた碁は内容的に苦しい碁が多かった」

棋士人生初めてという不調を乗り越え

井山「序盤はまずまずかなと。いろいろ選択と判断に迷いました。今年は結果が出ずに苦しい時期が長かった。結果に結びついた。非常に大きな防衛になりました」

これをきっかけに、井山碁聖が復調することを期待しています。